Là bas

普段の日記

人のゐない喫茶店


いつも通り掛かかり
入ってみようか 迷う 喫茶店

今日のわたしは
その店の扉を 遠慮がちに半分開け
中を見渡した
相変わらず誰もいない
カウンターにはコーヒー
まだ煙が立ち上っている

わたしはパタンと扉を閉め
ゆっくりとカウンターの席についた
そしてため息をひとつ
ねぇ わたしには
結局 ここしかないのね
そう言ってコーヒーを一口啜った

通りで車の走る音が聞こえる
わたしは口元を歪めた
話したいことは山ほどあったはずなのに
それらはどれ一つとして
言葉にならなかった

なぜだと思う?

そう聞こえた気がした
なぜ? わからない
わたしは忙しなく考えた
だが結局は無駄なことだ

わたしは平静を保とうとしている
妬み 羨望 プレッシャー
わたしはそれらを抱え込んだフリをする
フリだけだ
何一つ消化できていやしない
溢れた感情をどうにか収集しようと
また躍起になって 
あちこちかけずり回るんだろうか

そんなのはもういやだ

わたしは冷めたコーヒーを啜った
口いっぱいに苦みが広がる
血の味のようにも思えた

カウンターが一気に静まりかえり
壁に掛かった時計が午後十一時三十三分を差している
車の音も 聞こえない

おかわりは
もういいよ

そう言って
喫茶店を後にした

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